「ここは…?」
「俺が知ってる中で、1番空が綺麗に見える場所」
得意げに空を見上げる仁。
その心の中を映すように、満点の星が写っている。
「本当ね。今日は晴れたから、余計に」
「雨の日はここは来れねえんだ。道が危ないから、交通規制がかかる。大体1ヶ月分の知らせが、月の頭に届く」
「外れないの?」
「外れたことは一度もない。だから言ったろ?今日は晴れるって」
確かに、今日も外れなかった。
「貴方はここの…どんな存在なの?」
どんなって。
彼は少し考えてから。
「この山、知り合いの私有地だから」
「そういうこと」
感嘆したあたしにふっと、小さく笑ってから。
「外に出るか?」
「ううん、ここで十分。冬の山は寒いもの」
次の週で12月に入る。
着替えたとはいえ、寒さ対策は十分ではなかった。
ならいいけど、と呟いた仁は、そのまま。
「聞きたいこと、あんだろ?幾らでも答えてやるよ」
あたしが話をしやすいように、そっと本題を出してくれた。