「…危ないですね、こんなもの」
戸惑った佐々木さんの声がした。
少々焦って振り返ると。
佐々木さんの足から5センチほど離れたところに小さな矢が刺さっていた。
「それは…」
「触っては行けませんよ、和佳菜様。これは恐らく毒矢でしょう」
警告するような声音に手はびくりと震え、驚きと共に固まった。
「お察しの通りです。矢の先に毒が仕込んである毒矢でございます。少しずれましたね。…次は外れないと思うのですが」
にこりと綺麗な微笑みで返したこの男にはどうやら、申し訳ないというような負の感情は全くないらしい。
「…相変わらず、組長側のやることは姑息なのね」
「姑息でしょうか?俺らはただ、銀深会存続の為に仕方なくやっているだけです」
「仕方なくですって?あたしたちは、銀深会の敵ではないのよ。敵ではないあたしたちをどうしてここまでするの?」
「敵、ですよ」
「でもここはあくまでBARなはず」
「それを貴女が大きく変化させてしまったのですよ、和佳菜様」
あたしが…?



