瑞樹は深刻そうに顔を歪めて。
「…ちょっと仁に話を聴きたいかな」
そう言った。
「どうやって?貴方の立場が今知られたら色々と良くないんじゃない?」
この前、深い関わりを否定したばかりでまだ疑っている可能性が高い。
しばらくは静かにしておくべきだ。
瑞樹もそれは分かっているのか。
「目立つようにはしないよ」
と言ったが、じゃあどんな方法があるのだろう。
「和佳菜、ありがとう。これで問題なく調査を続けることができる」
彼はやり方には言及せずに、そう言いながら立ち上がった。
「それはよかった」
「ちょっと話を聞かなければならない人が増えたから、出てくるよ」
「誰?」
「秘密だよ」
そう目を伏せた。
何やら出かける準備を始めた瑞樹に、待って、と言った。
「ひとつ、聞きたいことがあるの」
「なに?」
瑞樹が柔らかな顔で振り返る。
「貴方は何者?」