獅獣にあたしも在籍していたこと。
その総長仁と、千夏ちゃんが仲がいいこと。
ただし、何故かは不明なこと。
彼女のことはよく知らないけれども、なぜか喧嘩を売られて、仁と共に行方不明になっていたこと。
それから帰ってきた仁に、倉庫を出ろと言われ、なくなく出たところ、変な人たちに絡まれ、瑞樹に助けてもらったこと。
大雑把にそう話し、これがあたしが知っていることよ。
と言って締めた。
「…そっかあ、仁。獅獣の総長やってるんだ。道理で大事な集まり以外いないわけか」
ふむふむ、と頷きながら何かを理解していた。
「大事な集まりって、…銀深会の?」
「そ。あまり来ないのに、誰も咎めないからなんでかなって思ってたんだ」
「そういえば、瑞樹はどうして銀深会にいるの?」
「え?マーク様からのご依頼だからだよ」
「な、なんでマークが」
「決まってるじゃん、和佳菜の恋しい男がどんな男か調べるためだよ」
「嘘ね。…ああ、いいえ、全てが嘘ってことも無さそうだけど。少なくとも、それだけではないでしょう?」
彼は、瞳を大きくしてから、はあとため息をついて。
「まったく。和佳菜を相手にすると嘘がつけなくて、大変だよ」
「演技もほどほどにして。貴方、あたしに見破られるって知りながら嘘ついたことくらいあたしだって分かるのだから」
これには瑞樹も笑うしか無くて。
「はいはい、和佳菜様には完敗です」
なんて両手を上げた。



