「結構信じられていないけれど、随分と焦っているようだから正直に話すわ。彼女はここには来ていないの」


「話したことは？」


「勿論あるわ」


「いつ？いつ、あいつを知った？」


「…貴方、随分と有名な情報通のはずなのに、そんなことも知らないの？」


何故この人は知らないのだろう。


あたしが千夏ちゃんを知っている事実は掴んでいるように見えたのに。


「どういうこと？」



「千夏ちゃんは、獅獣に出入りする仁の特別な女の子よ」



色々と話すことはできるが、ざっくりと大まかにまとめると、こうなる。


瑞樹は目を見開いてたいそう驚いていたけれど。


「仁、あいつと知り合いなのか？」


混乱している瑞樹を見て、あたしまで混乱し出した。


「ねえ待って、瑞樹。貴方はどこまで知っているの？あたしの知っていることは話すから情報交換しましょうよ」


ゆっくりと頷いた瑞樹にあたしは安心してため息をついた。