「ふうん」
納得はしていないようだけど、信じたようだ。
ふうっと、心の中でゆっくりとため息をついた。
ほんとうにいつも余計なことばかりするのは、変わっていないらしい。
もっとおとなになってほしい。
嘘をつく時は言い訳をしやすい嘘をつくのは鉄則でしょう?
まあ、駆け引きが得意な人間にとっては、最終手段なのだけど。
「あたしは貴方の前に現れるつもりなかったの。お使いを頼まれたから出向いただけ」
なぜか口にしていた。
恨みもストレスも、貴方に向けるつもりはこれっぽっちもなかったのに。
「分かってる」
「もう2度と会いたくないの。分かるでしょう?」
「わかる。あんな言葉、投げつけられて会いたいと思うはずねえ」
どこか悔いている様子に腹が立った。
なによ、あなたが今更申し訳ないとか思う権利はないのよ。
あなたはあたしのことを“要らない”と言った側の人間でしょう?
もう遅いのよ。
「だからもう2度とあたしの目の前にも現れないで」
だから、だから。
あたしがこんな酷い言葉を投げつけても。
「それは無理」
なんて、否定しないで。



