「会えたらな」
希望を捨てさせない琢磨はやはりあたしに甘い。
ありがとうね。
そっと我が叔父に微笑んだ。
たとえ見えていないとしても。
あたしは貴方に笑えただけで満足なのだ。
ドアが開いて。
真っ暗闇に明かりが映る。
ドアから漏れる明かりはそれはそれは暖かくて。
「さようなら、琢磨。また、いつか」
とても、柔らかい。
ひゅうと、冷たい風がドアに打ち付けて。
バタンと大きな音がしてから。
静かに消えた。
残ったものは僅かな冷たい空気と、琢磨がいた暖かさで、それ以上は何もなかった。
「さて、ご飯にしましょうか」
何事もなかったかのように、佐々木さんは振る舞ったけれど。
あたしには気になることがいくつかあった。