「いいえ、聞かないわ」


「は?」

「仁のことは仁から聞く。他人から話を聞くのはなんだか、気がひけるの」

綾は目を丸くしてから、ははっと唾を吐くように笑うと。


「お前のそういうとこが好きだよ」


さらっととんでもないことを言った。


「それは、友だちとして、よね?」


「は?それ以外に何があるんだよ」


「…ゆ、夢に聞かれていたら、浮気だって叫ばれていたわよ。…あれ、そういえば夢は?」


夢、もといジュリアは、あたしの昔の仲間であり、一年前は綾の恋人だった。


「今も付き合ってるけど、しばらくこっちには来てねえよ。来ても俺の家くらい」


「それは、やっぱり」


「間違えなく、あいつのせいだろうな。夢も、あいつのことが嫌いらしいし」