『俺はやることがあるから、それが終わったらまた会おう』



貴方はそう言って、あたしの目の前から姿を消したの。


あたしはキチンと覚えている。


「……」


琢磨は振り向かない。


あたしのその意味をキチンと把握できてはいないけれども、それとなくさよならを言われている気がした。



背中が、そう物語っている。



「琢磨、また逢いに来て」


あたしはしばらくこの城から出られそうにないから。


貴方に会えると知った今、ずっと気を張っていることが急に苦しくなった。



おかしいね、まず気を張っているとさえ思っていなかったのに。



あたしこんな感じでやっていけるか、凄く不安。



だから、あたしは逆に貴方を希望にして。



生きていくって、今決めたのだ。