ハッと琢磨が目を見開いた。


どうやら言うつもりはなかったようだ。


「……ねえ、どういうこと?瑞樹はあたしに日本での……ヤクザの、仕事は大体受け持っているって言っていたわ」


琢磨も分かるでしょう?


瑞樹の指す仕事の意味を。


「……それは」


「嘘は言わないで。あたしは叔父である貴方に嘘はつかれたくはないの」


優しい琢磨はあたしに残酷な話はしないつもりで来たに違いない。


それでも、あたしが世界で一番嫌いなものであっても。




貴方に嘘をつかれるよりはずっといい。




琢磨は押し黙ると。


視線を下に下げ、なにかを考えるように眉根を寄せていた。


「もう一度言うわ。あたしは嘘は嫌いよ」


これはあたしの特技である駆け引きの一部なのだろうか。


もう一押しのところだということが分かってしまう。



「…ごめん、和佳菜」




再び聞こえた謝罪は、さっきとは明らかに意味が異なっていた。