「…嫌い。貴方なんか、大嫌い」
[やっと本音を聞かせてくれた。嬉しいよ。君が大人ぶっている姿は好きじゃない]
「うるさい。本当に嫌。血が出ているのだけど、本当にどうしてくれるのよ」
[え、ほんと?ごめん、甘噛みしたつもりだったのに。キスマークがキスマークじゃなくなっちゃったね]
キスマーク。
その言葉に妙に心臓が音を立てる。
やめて。
あたしは貴方に溺れたくないの。
もうこりごりなの。
あの世界も、ホテルも。
貴方をただ待つだけのあたしに、もう戻りたくない。
「ねえマーク。どうしてあの日置いていったの?」
神妙な顔をするしかなくて。
それ以外にあたしは方法が思い当たらなくて。
あの世界のことも、ホテルの日々も、首元につけられたキスマークも。
なにもかも忘れたくて。
ただ、貴方にもし会うとしたのなら、どうしても聞かなければいけないと思ったことを、聞くしかなかった。
仁に疑問に思ったことを問い詰められなかったあたしを変えるために。



