『和佳菜の部屋を見たい!』
と、マークが言ったので、仕方なくあたしが使わせてもらっているあの部屋を見せた。
[……質素だね]
それはそうだろう。
ここにはなにもないのだから。
「それで、貴方はなにをしたいの?」
もうどうしようもない。
逃げることなど出来るはずがない。
諦めからそう言ったあたしに、彼は悪戯に微笑む。
[いいの?]
嫌な予感しかない。
「いいよ」
それでも先が読めない限り、あたしは頷くことしかできなかった。
それを、物凄く後悔する、とも知らないで。
背中に痛みが走ったのは突然だった。
強く強く、体をベッドに押し付けられて。
「きゃっ」
なんて短い悲鳴もきっと彼には聞こえてなくて。
[こういうことは、ミズキがいるとできないからね]
穏やかに見えて、実は全く穏やかじゃない微笑みを浮かべた目の前の男の人は今まであったどの大人よりも怖くて、恐ろしい。



