「和佳菜は気がついていなかったようだね。何度か見破っているから、もしかしたら気づいているとも思ったがね」


それはそうだろうけど、あたしがなんでもきがつくとは思わないでほしい。


あたしはすべてのものにおいて敏感ではない。


「うちの人間とも何度も乱闘事件を起こしてたんだよ」


本当に大変だよね、とため息をついたマークの言葉にハッとした。


「…そう言えば、うちの近くで何度か乱闘騒ぎがあって…いかつい日本人が何人か逮捕されたって聞いたわ」


「それだよ!本当に僕のお姫様は変なところで疎いんだね」


そこも可愛いけど、とにこやかに微笑んで再びあたしを自らの手で引き寄せる。


「話がズレたけど、和佳菜はどうしたい?今回は和佳菜に委ねてあげる」


僕のところへおいでとでも言うように、にこやかに笑ったが。


あたしに決めさせてもらえるならば答えは一択だ。



「…あたし、ここにいたい」




彼は小さくため息をつくと、そうだよね、と下を向いて笑った。