蒼の花と荒れる野獣Ⅱ


コンコン。


ノック音に驚いて思わず、ドアを見つめた。


「和佳菜、今いいか?」


ああ、誰かと思ったら……。


「なに?瑞樹」


「今日の夜、店にマスターと一緒に出てくれないか?」


「いいけど。お店に?」


夜、6時から佐々木さんはいつもBARを開いている。


だけど、あたしがそこに出たことはなく、出られるはずがないと思っていた。


「そうだ。俺は居られないけど、失礼のないようにな」


「それは、気をつけるけど。珍しいのね」


あたしが外に出られない理由は分かっている。


マークに引き渡すため。


あたしが逃げると思っているのだろう、そうさせないために、この家の中でのみあたしの自由を許している。


「ああ。少々訳ありだからな」


その少々訳ありの意味をあたしはきちんと理解していなかった。



それを理解していれば、あたしはそこにいることはなかったのに。