「分かりました」

と、あたしの目を見ていった。


「じゃあ、早めに戻ってきてください」


「可能な限り、急ぎます」


そう言って、大人げなく走って、お手洗いに向かった。




結果だけを言ってしまえば、佐々木さんの心配は無用で、カートがなくても、あたしはこの場所から動かなかった。


いいえ、違う。


動くことができなかった、そちらがずっと正しい。


「お姫様?」




そこであたしは、思わぬ人と遭遇してしまったのだから…。