「…ん、」



どうやらベッドの上で眠ってしまったらしい。


「もう四時か」


壁掛け時計は午後4時を過ぎた頃を指している。


コンコン…。


突然のノック音にびくりと肩が跳ね上がる。


「…和佳菜様。起きていますか」


聞こえた声は佐々木さんのもので。


「あ、はい」


慌てて返事をすると、ドアが開けられた。


「なんでしょうか」


「これから買い出しに行くのですが、和佳菜様を1人にしてはいけないと、坊っちゃんから命令が来ておりまして」


要は、買い出しについてこいということ。


「分かりました、行きます。少し準備の時間が欲しいのですが」

あたしも四月に誕生日を迎えた17歳の女。


部屋着のまま外に出て行くことはまずないし、少しばかり化粧だってする。


すぐに出発することは難しいのだ。


「どれくらいあれば良いでしょうか」

佐々木さんも分かってくれたようで、ほっと胸を撫で下ろした。

「そうですね、…15分あれば十分です」


「分かりました。では15分後に」