「そこまでやわじゃないんだけど」


「でも実際に起こったじゃん。…あれはもう、防ぎようがなかったけど」


彼は再びため息ついたけど、あたしは決してその言葉を信用してはいなかった。


「防ぐつもりも、守るつもりも。貴方達には無かったようにしか思えないけど」


あたしは忘れない。


あの日交わした約束を。


『お姫様、絶対に助かれ。そして…』



目を瞑れば今でも簡単に思い出せる。


それくらい貴方の記憶は戦慄で。



暖かい。




『絶対にあの方から離れろ』