「和佳菜、ご飯だよ」
誰かに起こされ、ゆっくりと目を開けた。
見慣れない天井がぼんやりと見えたから、一瞬ここはどこかと思ったけれども。
「おはよう、和佳菜。もう10時だよ。ご飯食べて」
柔らかい声にあたしの意識は覚醒した。
「勝手に人の部屋に入って来ないで」
「酷いなあ。この部屋をあげたのは僕なのに」
「瑞樹じゃなくて、佐々木さんよ」
目を細めて笑った瑞樹は君を拾ったのは僕だよ、と平然と言いのけた。
「論点ずらさないで」
あたしが怒ったように唇を尖らせると、瑞樹は困った顔をして。
「ほんと、和佳菜は騙せないね」
それからまた同じ笑顔で笑った。