「ま、ああいうのはお前を信じてたか言えたんだろうけど」
「どういう意味?」
本当、なんもわかんねえんだな。
綾が呆れているけれど、分からないものは分からない。
「あのな、信じてたからこそ裏切られたと思うんだろ。信じてなかったら裏切り者なんて言わねえよ」
ああ、そうか。
とても心を許していたと思えない悠人でも、どこかであたしを信じていたんだ。
思えば、睨んでいたしたっぱの子たちもあたしによく懐いていてくれた子ばかりだった。
「悠人の言った通りね」
あたしは自分の言葉に責任を持っていなかった。
“彼らなら許してくれる”
という甘えがどこかにあったのかもしれない。
「仁、ごめんなさい」
「なんだ。いきなり」
「綾にも、謝らなきゃ」
「なんで、俺らに謝るんだよ」
綾が不満げに言った。
「謝るのはみんなにだろ」
「たしかにそうだけど…だけど2人には色々と迷惑をかけたから。みんなとまとめて、なんて許されないと思ったの」
「俺は別に困ってもねえけど?いつもと変わらなかったぜ」
綾はどうでもいいように目を逸らしたけれど。
あたしがここを抜けて、困ったのは仁で。
綾は…。
「みんなを宥めるのに、時間と心を使ったでしょう?」



