ぽとりと涙が一雫。


目から溢れ落ちたことを、あたしは確かに感じていた。


前兆なんて、全くわからなくて。


ただ、いつのまにか泣いていた。


「指令に従う素ぶりなんて見たことなかったけど」


懸命に言葉を並べて。


畳み掛けて。


ねえ、どうして。


あたしをまっすぐに撃ち抜いたのは、紛れもなく貴方なのに。


「お前がこっちに来るのだって親父から聞いていた。お前がいた方が何かと好都合だからな。側に置いておけと、命令がきた」


…ああ、忘れていた。



あたしが獅獣に呼ばれた最初の理由。


それは、多分きっと。


あたしがマークと付き合っていたから、だ。