「俺らのことは嫌いなんだろ?」


「………」

「だから、勝手に姿を消したんだろ?」


「……それは」

「総長の言葉を信じてねえわけじゃない。今そういうことを言ってんじゃねえんだよ。お前は自分の言葉に責任も持たねえなら、ここには二度と来んなって言いたいだけなんだよ!」

そういうなり立ち上がると、ドアを開け、出て行くと、バタンと、大きな音を立てて、閉めた。

彼の怒りが込められているように思えた。

彼だけじゃない。

多くの人が、裏切り者であるあたしを憎んでいるのは確かだった。

だけど、彼らの思いを踏みにじったあたしは、今更どんな謝罪をすれば良いのだろう。

あの日彼らを踏みにじったような説得力のある演説を、再び彼らの前でできるとは思えなかった。