その後も泣き笑いの状態で握手をしていると事情を知らない後続の人達に驚かれ、慰められ、励まされた。
そしてその日は握手会でシキテンさん改め変装した隆矢に会えず、反省会で勇菜は一人ポロポロと涙を流してはスタッフに心配されていた。

「照明仲間の子に聞いたけど、もうすぐクランクアップでかなり忙しくしてるらしいよ！」

「はい……」

「メイク仲間が言うには、一ノ瀬さんもユウナちゃんに会いたがってるって！」

「はい……」

「後もう少しだから頑張ろうね！」

「頑張ります……」

会えないことと連絡がとれないことがこんなに寂しく感じるなんて思わなかったと勇菜は上を向いて涙を溢すまいと目に力を溜めようとした。
すると頭上から急に陽人が覗きこんできて驚いて目を見開くと額を思いきり叩かれた。

「いっ……たぁ……」

「いつまでもメソメソするな、迷惑だ」

「迷惑……」

ハッキリと言われて落ち込みそうになると周りのスタッフが、そんなことないよっ！たまにはそんなこともあるよ！と慰めてくれる。
その様子を見て陽人が溜め息をつくと、ポケットからスマホを取り出し画面をこちらに向けてきた。