「ユウナちゃん、映画の主題歌良い曲だったよ」

「本当ですか?
ありがとうございます」

ライブ後の恒例の握手会で口々にみんなが新曲を褒めてくれる。
メロディアスな曲に乗せて二人で交互に、サビではハモって歌うこの曲は聴く人によって切ないメロディにも聴こえるようで、思わず泣いちゃいました。と言ったファンもいた。

「この歌を聴くために映画に行こうかって友達とも話してて」

「いやいや、歌ならCDでも聴けますからここはしっかり映画を見てください」

「じゃあ歌のついでにユウナちゃんの彼氏がどれだけ格好良いか見に行こうかな」

「是非そうしてください、隆君きっとすごく格好良……」

話している途中でポロッと涙が零れた。
目の前のファンの人もその後ろにいる人も近くにいるスタッフも驚いて目を見開くのがわかって、勇菜は手元にあったハンカチで涙を拭おうとするも次々に溢れ出て止まる気配はなかった。

「ご、ごめんなさい。
おかしいな、止まらない……」

「ユウナちゃん、大丈夫?
俺なんか悪いこと言った?」

「そんなことないですっ!
ただ、撮影で隆君が忙しくて最近連絡とれてなくて……寂しいだけです」

と眉を下げて笑うとそれを聞いた人達が痛ましそうな表情で勇菜を見つめていた。