これは一体どういう反応なのだろうかとじっと話すのを待っていると、暫くしてから片手を口から離し微かに微笑まれた。

「会ったのは……初めてです。
一応俳優をしてるので、もしかしたらどこかで見てくれたのかも……」

「俳優さんだったんですね。
気づかなくてごめんなさい」

そう言うと、いえ、まだ駆け出しの新人なので。と苦笑いされた。

「それで、困ってたようでしたけどどうかしましたか?」

「実は飲み物買いに来たんですけど、おサイフ持ってくるの忘れちゃって……諦めて戻ろうかと思ってたところです」

「何を飲もうと?」

「カフェオレです。
私好みの甘さがここしか売ってなくて……」

話している間にガチャンッと音が聞こえ、目を丸くしていると飲みたかったカフェオレが差し出された。

「どうぞ」

「え!?いや、でも……」

「飲みたかったんですよね?
俺にはこの甘さは飲めませんから、貰ってくれると助かります」

「あ、ありがとうございます」

助かると言われて戸惑いながら受けとると、あの……。とおずおずと隆矢を見上げた。

「とても図々しいのを承知でお願いがあるんですけど……」

「はい?」

アイスコーヒーもお願いしていいですか?と小声で言うと、今度は隆矢が目を丸くした。