「隆矢君、最近彼女さんと上手くいってるー?」

夜の撮影のため、遅い時間に集まった出演者とスタッフと一緒に台本を見ながら撮影シーンの確認をしていた隆矢は時間ギリギリにやってくるなり大きな声で話しかけてきた美佐とその言葉に僅かに眉を潜めた。

「上手くいってますよ。
ちゃんと毎日電話もしてますし」

「えー?電話だけ?」

そっかー、だから……。と口に手を当てて悲しそうに眉を下げた美佐に隆矢も周りの人達も苛立ちが募る。
隆矢に取り入ろうとする美佐の言動に全員が癪に触り、隆矢も勇菜と満足に会えないストレスから徐々に怒りが込み上げるようになってきた。

「撮影が大詰めで忙しくて会えないのは草野さんもわかるでしょう?」

「もちろん私はわかるわ。
これでも何年も女優やってるんだから」

「でしたら……」

「でも、まだ二年目の……しかもアイドルっていうみんなにチヤホヤされる職業の子はどうなのかなって」

「ユウナも理解してくれてますし、チヤホヤされるだけがアイドルじゃありません」

「本当にそうかしら……」

勇菜を中傷するような物言いにさすがに我慢の限界がきた隆矢は美佐に近付こうとすると、私見ちゃったのよ。とスマホを取り出した。