目的地に着いて車を降りると二人で目の前に見える観覧車を見上げた。

「今更だけどデートの場所、私が決めた遊園地でよかった?」

「デートの定番って感じだよね。
俺は楽しみにしてたよ」

「本当?
実はあんまり行ったことがなかったから私も楽しみだったんだー」

「そうなの?
越名さん達だったらいろんなところに連れていってくれてそうだけど……」

かなり勇菜のこと大切にしてたみたいだし……。と先日のお宅訪問の時を思い出しているのだろう隆矢に勇菜は頷いて肯定した。

「いろんなところ連れていってくれたよー。
でも、やっぱり二人とも有名人だから人の多いところは行けなかったの」

大体家族旅行って温泉とかのんびりしたところが多かったかなー?と言うと隆矢は一瞬だけ視線をこちらに向けた。

「じゃあ人の多いところ……遊園地とか動物園とかは行ったことなかった?」

「お父さん達とはなかったけど、叔父さん達にはたまに連れていってもらったよ」

「そっか……。
あ、その叔父さんって実はまた芸能人だったりする?」

「えっと、叔父さんは……」

と言いかけたその時に遊園地に入ろうとしていた高校生のグループらしき人達がじっとこちらを見ているのに気付き、無意識に笑みを浮かべるとその人達が走り寄ってきた。