「私は恋愛自由だからいいけど、隆君の事務所は駄目じゃないの?」

「好きな子がいるから付き合いたいって前もって説得してきた。
条件付きだけど許してもらったよ」

「条件?」

それって……と顔を上げて続きを聞こうと思ったら、取り込み中悪いんだけど。と聞き慣れた声が聞こえてきた。

「こんなところで告白大会、挙げ句の果てに早速イチャイチャするのやめてくれる?」

「ハ、ハルト!」

いつからいたのか結構近くの壁に寄り掛かって呆れた表情をしている陽人に勇菜は隆矢から慌てて離れた。
隆矢は立ち上がって陽人に向き直ると徐に頭を下げた。

「聞いての通り俺達両想いなので、お付き合いすることを容認してもらえませんか?」

「俺は別に人の恋路にとやかく言うつもりはないよ。
勇菜が野望を忘れないなら好きにしたらいい」

「わ、忘れないよっ!」

小さいときから兄妹スーパーアイドルになることだけを夢見てたのだ。
そう簡単に忘れたりなどしないと強い眼差しを陽人に向けると、陽人は強気な笑みを浮かべた。

「隆矢、ユウナと付き合いたいなら両親の許可を貰っとけ」

「え、付き合うだけで?」

「無事に付き合って、尚且つ芸能界にいたいなら助言は聞いとけよ?」

バレてからじゃ怖いからな。とどこか遠い目をする陽人に隆矢は首を傾げ勇菜は思わず苦笑してしまった。
こうして都合を合わせて後日隆矢を自宅のマンションに招待することになった。