「ユウナ、風邪だって?」

「ハルト……と、拓也さんと越名さん……」

陽人と一緒にKaiserの二人も一緒にいたのだろう。
隆矢が連れて帰ってきた三人は勇菜に近づくなり顔を覗きこんだ。

「さっき俺と話してたときは元気だったよね?
怒られるって落ち込んではいたけど」

「げ、元気でした……」

「確かに顔は赤いけど、熱は?」

「わ、わからない……。
顔は熱いんだけど」

そう言うと勇人が無言で勇菜の額や頬、首筋を触っていく。
その他人にするには慣れた仕草と躊躇いのない様子に隆矢が目を見張った気がしたけれど、勇菜はそれどころではなかった。

「他に症状は?」

「動悸がする……胸がドキドキしてる」

「いつから?」

「えっと、隆君が目を細めて微笑んだのを見てから……」

そう言うと目の前にいた四人がピタッと止まった。
隆矢に至っては目を見開いている。

「それに今みんなが顔を覗きこんできても何ともないのに、さっき隆君が同じことをしたときにはドクンッて心臓が動いたの……何でかな……?」

「ユ、ユウナちゃん、それって……」

「拓也」

拓也が何か言おうとしたことを鋭い声で勇人が止めた。
勇人が首だけを後ろに向けたので勇菜もつられて見てみると、そこには口を押さえて真っ赤になって立ち尽くす隆矢がいた。