それから数年後ーー。

今までやって来た場所とは比べ物にならない国内でも片手の指に入るほど大きな会場で、以前よりも目に見えて増えたファンの人達が自分達を呼ぶ声が聞こえてくる。

「……やっとここまで来たな」

感慨深げに呟く陽人の顔を見ずに、そうだね。とだけ呟き返す。

「この期に及んでしり込みしてないよな?」

「冗談。
こんなにたくさんのファンの人達の前で歌えるなんてワクワクしてるよ」

そう言いながら自分の両手を見てみると、震えなどはなく気持ちも落ち着いていた。

「今まではスタートラインにつくまでの助走。
ここからが野望を達成するための本当のスタートだな」

「うん……。
絶対なろうね、兄妹スーパーアイドル!」

「当然。
行くぞ、ユウナ」

「行こう、ハルト」

気合いを入れるためお互いの拳を合わせるとファン達のカウントダウンが聞こえる。
ゼロッ!とみんなが叫んだ瞬間に二人で勢いよく飛び出して歌いだした。