「怪我が治って自分の家に戻ったら勇菜の家で賑やかに楽しく過ごしてたことばかりが思い出されてさ。
……早く一緒に暮らしたいな」

目を細めて優しく微笑みながら伝えてくる隆矢に勇菜が頬を染めると、私も。と頷いた。

「越名さんと陽菜さんの条件は守って婚約は許してもらった」

「お兄ちゃんと朝陽君の条件もちゃんと守った」

「事務所の条件もあらかた守った」

「「なのに堀原さんから新しく条件出されると思わなかった……」」

二人で手を絡めたままがっくりと肩を落とす。
婚約を認めてもらって喜んだのも束の間、ここにきて何故かマネージャーである堀原から同棲や結婚するための条件を出された。

曰く、“同棲、結婚をしたかったら野望を達成しろ”と。
つまりはKaiserをも越える兄妹スーパーアイドルになれと、話はそれからだと言われてそれを聞いた勇人や陽菜を含めた全員が賛成してしまった。

「今のままじゃ全然ダメだよね……隆君と結婚できるのかな?」

「いや、弱気にならずに結婚しようよ。
だから早く頂点に立って」

俺も誰よりも有名な俳優になれるように頑張るから。と言われて勇菜は僅かに目を丸くした。

「……スーパーアイドルと有名俳優。
なんかすごく格好良いね」

「うん、だから頑張ろう」

出来るだけ早くね。じゃないと俺、いろいろ我慢できなくなりそうだから……。と微かに頬を染めて微笑む隆矢に勇菜は真っ赤になってなんとか頷いた。