「ハルト、遅かったね……って、真未さんその人は……?」

「なんかハルト君のことをずっと付け狙ってたマスコミらしいんだけど、うちの店に入ろうとしたハルト君を無断撮影しようとしたから制裁を加えようと思って」

このお店は勇菜達筆頭に芸能人が数多く通う店でマスコミや一般人の芸能人への過度の接触、無断撮影を禁止していることをこの人は知らなかったのだろう。
軽々しく捻りあげられている腕に顔をしかめている。

「誰だか知らないですけどダメですよ?
真未さん前回草野さんに私とプロデューサーの写真を店前で撮られてからより一層そういことに敏感になって手加減なくなったんですから」

「そうそう。
それに俺を付け狙うってところも時間の無駄だよ」

スキャンダルになるような隙を見せるわけないだろ?と不敵に笑うとマスコミは悔しそうな顔をした。

「でも付け狙うってことは何か弱味になるような情報を握りつつあるんじゃないですか?
こっそり教えてくださいよ」

ワクワクしながら耳を近付けると陽人に頭を軽く叩かれたがそんな様子を見てファンの人達は楽しそうに笑っている。

「さ、みんなは交流会楽しんでて。
私は前回の分も込みでこいつに鬱憤晴らさせてもらうから」

そう言いながら引きずっていかれたマスコミは悲惨そうな顔をしていた。
完全な八つ当たりもあるだろうけれど、ここは大人しく制裁を受けていてもらおうと勇菜はせめてもの応援で手を振って見送った。