「草野さんの件はユウナにはほとんど話しておりません。
今までの嫌がらせのことや今回のライブ中に起こされた事件のことで精神的な面でユウナに多大な負担がかかっています。
出来れば彼女の事に関してはユウナにコメントを求めたりしないようお願い致します」

そう言って頭を下げた隆矢に勇菜は驚き言葉を失っていると、マスコミの後ろの方からたくさんの声が聞こえてきた。

「ユウナちゃんっ!!今一番辛いのにコメントしてくれてありがとうっ!!」

「俺達またライブ行くから、また元気に歌って踊ってくれよ!」

「退院おめでとうっ!」

「隆矢君、ユウナちゃん守った姿格好良かったよ!」

マスコミが驚いたように後ろを振り返ると、そこにはライブによく来てくれる常連のファンの人達がたくさんいて、皆一様に笑顔で声援を送ってくれている。
中には垂れ幕で“ユウナちゃん大好き!”と掲げてくれている人もいて、勇菜は思わず涙ぐんでしまった。

「ほら、言っただろ?
勇菜はみんなに愛されてるアイドルだって」

そう言って微笑んだ隆矢に頷くと、勇菜は大きく息を吸って思いきり叫んだ。

「っ……ありがとうっ!
私もみんな大好きっ!」

その言葉を受け取って、ファンの人達はとて嬉しそうに笑った。