隆矢の腕の中でスプレーがシューッと出ている音や観客達の混乱した声、スタッフやマイクを通した陽人の声がずっと聞こえていた。
やがて会場の照明がついて空調も全力で動かしたのだろう、ゴーッと空気を入れ替える音が響いた。
「……勇菜、大丈夫?」
「だ、大丈……」
「目が……目が痛い……っ!」
「っ……顔がいてぇ……」
空気の入れ換えがすんだのか隆矢がそっと布を外して心配そうに声をかけてきたので、まだ混乱しながらも小さく頷いたときに観客席から痛みを訴える声がたくさん聞こえてきた。
顔を覆って涙を流す人、激痛に顔を歪める人を見て呆然としているとある一ヶ所が騒がしく人集りができていた。
「っ……離しなさいよっ!触らないでっ!!」
「黙れっ!お前が缶を投げたのを見たんだよっ!」
よく見ると、そこには以前握手会で会った目深に帽子をかぶって力の限り手を握り締めてきた女性が近くにいた観客達に押さえつけられていた。
「……」
「勇菜、マイク貸して」
あまりの衝撃的な光景に言葉を無くしていると、隆矢が勇菜の腰をしっかり抱きながらマイクを受け取る。
すうっと小さく息を吸い込むとマイクのスイッチを入れて躊躇なくその名を声にした。
「こんなことはやめてくださいって言いましたよね、草野さん」
やがて会場の照明がついて空調も全力で動かしたのだろう、ゴーッと空気を入れ替える音が響いた。
「……勇菜、大丈夫?」
「だ、大丈……」
「目が……目が痛い……っ!」
「っ……顔がいてぇ……」
空気の入れ換えがすんだのか隆矢がそっと布を外して心配そうに声をかけてきたので、まだ混乱しながらも小さく頷いたときに観客席から痛みを訴える声がたくさん聞こえてきた。
顔を覆って涙を流す人、激痛に顔を歪める人を見て呆然としているとある一ヶ所が騒がしく人集りができていた。
「っ……離しなさいよっ!触らないでっ!!」
「黙れっ!お前が缶を投げたのを見たんだよっ!」
よく見ると、そこには以前握手会で会った目深に帽子をかぶって力の限り手を握り締めてきた女性が近くにいた観客達に押さえつけられていた。
「……」
「勇菜、マイク貸して」
あまりの衝撃的な光景に言葉を無くしていると、隆矢が勇菜の腰をしっかり抱きながらマイクを受け取る。
すうっと小さく息を吸い込むとマイクのスイッチを入れて躊躇なくその名を声にした。
「こんなことはやめてくださいって言いましたよね、草野さん」



