「へー?それで監督に頭を下げたわけ?」

撮影も終わり陽人ものんびりとした様子で合流すると堀原の運転で自宅へ向かう車の中で先程監督が言っていた話を詳しく聞いていた。

前スキャンダル騒動に発展した時に勇人に勇菜を守れていないと指摘されたこと、美佐が引退したと同時期に嫌がらせが始まったこと、今度こそは自分の手で勇菜を守りたいと決意したこと、その為に監督に無理を言って出来るだけ勇菜の傍にいれるよう撮影の調整をお願いしたと話した。

「だからライブの後も、草野さんに階段で突き落とされた時も来てくれたんだね」

ありがとうっ!とぎゅっと抱きつくと隆矢は人目があるからかわたわたしていた。
助手席からニヤニヤしながら後部座席を見ている陽人が、さっさと父さんに認めさせて結婚しろよ。と言うと隆矢が苦笑した。

「うん、実はライブ後に勇菜と話してて車で寝たときに越名さんと会ったんだ」

「え!?お父さんと!?」

確かその日はKaiserのライブツアーが終わった日。
いつもならすぐに陽菜に会いに行ってるはずなのに何故?と思っていたら、勇菜が嫌がらせ受けてるって聞いて心配だったらしいよ。と微笑まれた。