「あ、お帰りなさーい」

ぱたぱたと足音が聞こえてきて、ドアから顔を出した陽菜は隆矢の姿を確認するとふわっと微笑んだ。

「いらっしゃい、隆矢君。
勇菜を助けてくれてありがとう、自分の家だと思ってゆっくりしてね」

「あ、ありがとうございます。
お世話になります」

いつの間にか立ち上がっていた隆矢は陽菜の言葉に深々とお辞儀すると、いつの間にか隆矢の荷物を持った陽人に腕を捕まれていた。

「じゃあ間取りとか部屋の案内してくる。
隆矢は俺と同じ部屋だけど勇菜と一緒が良かったらそのうち……」

「お、思ってない!そんなこと思ってないからっ!!」

陽人の発言に顔を真っ赤にしたかと思ったら青くしたりと忙しい様子の隆矢に勇菜は陽菜と顔を見合わせると、ふふっ。と笑った。

「さあ、今日は隆矢君の歓迎会でご馳走作ろうかな」

「私も手伝うよ」

陽菜と二人でキッチンに向かい何を作るか話し合う。
普段も賑やかだけれど隆矢が来てくれたおかげでさらに賑やかな家になりそうだと勇菜はワクワクしていた。