「いらっしゃい、隆君！」

「お、お邪魔します……て言うか、何でこんなことになったの？」

隆矢が怪我をした次の日がたまたまオフだということで、陽人が勇人の運転する車で隆矢を迎えに行き、半ば強引に荷物を鞄に突っ込み無理矢理越名家に連れて帰ってきた。

説明もあまり受けていなかったのだろうギプスで固定されてしまった右手をやや不自由そうにしながら、荷物を持ってリビングに歩いていく勇人と陽人に戸惑っているようだった。

「あのね、お父さんが隆君の手が治るまで家にいてもらってていいって」

「えっ！？」

言われたことを理解しきれないように隆矢は何度も瞬きをしていると、陽人がリビングに続くドアから顔をだした。

「まだそんなとこにいるのか？
早く上がれよ」

「あ、そうだった。
隆君入って入って」

「いや、靴くらい自分で脱げるから……」

しゃがんで靴を脱がそうとしたら隆矢に苦笑しながら止められた。
こっちこっちと促してリビングに入ればソファーに座った陽人と出掛ける準備をしている勇人がいた。

「えっと……越名さん……？」

恐る恐るというように勇人に話しかけた隆矢はチラッと隆矢に視線を向けると、徐に口を開いた。