勇菜が生放送をジャックしたその日、仕事やライブが終わったら真未の店に集合して今日の反省会をすることになっていたのだけれど、勇菜達がやって来たときには店内にはまだ真未と朝陽しかいなかった。

「お疲れ勇菜、頑張ったじゃん」

「朝陽君もお疲れ様、協力してくれてありがとう!
カメラとかモニターの遠隔操作大変だったんじゃない?」

「すっごく簡単だった。
テレビ局のセキュリティって甘いな」

悪い顔をしてニヤリと笑う朝陽の言葉を聞いた隆矢が軽く引いて、堀原が小さく首を横に振った気がした。
本当はやってはいけないことなのだけど朝陽がハッキングして様々なカメラやモニターを操る力を駆使しなければ、今日の生放送をジャックしてのスキャンダル一掃作戦は実行されなかったので多少のことは目を瞑っていてもらわないといけない。

「それにしても、隆矢の婚約宣言は前もっての作戦だったのか?」

「えっと、それは……」

あの時勇菜は隆矢に出てきてもらって、全員のいる前で隆矢以外の男性とは熱愛をしないことを宣言しようとしていた。
時間はかかるが隆矢と長く恋愛していたらいつか一途なアイドルとしてのイメージが定着するはずと思っていたのだけれど、その前に隆矢が婚約宣言をした。
その事を思い出した勇菜は嬉しいのと恥ずかしいのとが混じって仄かに頬を染めた。