「一ノ瀬さん?顔が赤いですけど熱でも……」

「い、いやっ!ないですっ!!」

バッと勢いよく離された手に勇菜がキョトンとしていると隆矢が、あ、いや、その……。と慌て出した。

「す、すみません、つい……」

「いいえー、私こそいきなりごめんなさい」

つい嬉しくて。と苦笑すると隆矢は頬を赤らめたまま眉を下げる。

「本当に熱とかないです?
大丈夫ですか?」

「ないっ……ないです……」

「それならいいんですけど……」

赤くなった顔をじーっと見つめていると、勘弁してください……。と小声で呟かれた。
何をだろうかと首を傾げているそんな二人の様子をスタッフの人達が暖かい目で、陽人が無言の眼差しで見ているのには全く気づかなかった。