「お待たせ、次はハルトの番だよ」

「ん、了解」

軽くハイタッチして交代し陽人が撮影場所に歩いていくのを見ていると、目の前にさっきの飲みかけのカフェオレとタオルが差し出された。

「お疲れ様」

「ありがとうございます」

隆矢が渡してくれたタオルとカフェオレを受け取り笑顔でお礼を言うと顔を反らされた。

今の顔を反らす感じ、よく知ってるような……？

既視感のようなものを感じてじっと隆矢を見ていると、暫くしてから微かに頬を染め困ったように微笑まれた。

「あんまり見られると恥ずかしいんですけど」

「あ、ごめんなさい。
一ノ瀬さんのさっきの仕草、なんかよく知ってるような気がして……」

「え……」

「どこかでよく見る仕草のような……どこでだったかな？」

悩みだす勇菜に隆矢は少し慌てたように視線をさ迷わせていて、その様子もじっと見てみるけれどやはり何も思い出せずに肩を落とした。

「無理です。
思い出せません」

「……きっとよくある勘違いですよ」

「んー」

そんなこともない気がするんだけどなぁ。と勇菜はどこか安心した様子の隆矢にあまり納得出来ずに前を見ると、丁度陽人の撮影が始まっていた。