カシャカシャカシャッとシャッターを切る音が再び響きだす。
今は勇菜一人の撮影で陽人は隆矢と一緒にいる。

さっきと同じクールな表情でと言われているので勇菜は言われた通りの表情と仕草をするが、普段が根っから明るい勇菜にはクールな表情はなかなか大変だった。

「ユウナちゃん、次で最後だから頑張って」

「はい」

「じゃあ右手を首に当てて、左手で自分の体抱き締めて。
顔は少しだけ右側……目線こっち……うん、いいよ」

カシャカシャカシャッと音がする。
ほんの少し自分でも顔の傾き具合や口の開け方、手の角度を調整しながら撮ってもらうと何度めかのシャッターの音を最後に鳴り止んだ。

撮ったばかりの写真をその場で確認するその間じっと待っていたらカメラマンからOKのサインが出た。

「お疲れ様、いい写真が撮れたよ」

「お疲れ様です、ありがとうございました！」

言いながら駆け寄って写真を見せてもらうと普段の自分とはかけ離れた姿が写し出されている。

「さすがプロのカメラマンさんですね、私じゃないみたいです」

「これもちゃんとユウナちゃんだよ。
僕達はみんなの隠れた一面を引き出すだけ」

それがすごいんじゃないですかー。と笑顔で笑いあってから陽人の待っていたスタジオの端の方に移動した。