いつの間にか放課後。
俺はいつも部室に直行する。


ドアを開けると『軽音部』と書かれた黒板と独特の甘い匂いが出迎える。
高校に入ってから部活の時間だけがスゴク楽しみだ。
ギターに触れた手は、早く弾きたいとせがんでいる様だった。
チューナーに電源を入れ、音を聞く。

ジーーーーーーーっという音が俺を包み込む。
音を合わせ終わると、ドアが開いた。

「お、早いね。」
「お前が遅いんだよ。俺、もうチューニング終わったぜ?」
「ちょ、早っ!!僕もするから電源切らないで!!」
この僕っ子は幸一。1番幸せになれるようにとつけられた名前らしい。
そのせいか、いつも笑みを浮かべている。
「奏君、あわせよっか。」
「そうだな。」


ボーンボーン・・・・・・・・
ゆっくりと弾き始めた幸一の演奏にあわせて、俺はギターを弾く。
幸一とはすごくあわせやすい。ギターの神童といっても言い過ぎではない。


ゆっくりと終わる演奏。気持ちのいい時間は終わった。
「ふーーーーっ…。疲れたね。お茶、買ってくる。」
「おー。サンキューな。」


俺たちはそう言って休憩時間に入る。その時間を使って俺はいつも作詞をする。
ノートを広げると、下手な字がびっしりと書いてある。
「俺たちの・・・青春・・・は・・」
ぶつぶつ唱えながらノートに書き込む。
時間を忘れる。




廊下を走る音がする。幸一だろう…。
・・・脅かしてやろう!
そう思ってドアの影に隠れた。
タン・・・
ドアの前で止まる足音。心の中で一、二、三と数える。
「ばぁ!!!!!」
「へ??」
俺の前に立っていたのは幸一ではなく・・・見知らぬ女子生徒。





なぁ。運命ってすごいと思わないか?

出会ったのが当たり前に思ってた。

でも俺と君が出会ったのも一億分の一。

そう思うと すごく嬉しいことに感じる。