桜黄高等学校は県内一、荒れている事で有名な学校。何でこんな学校があるか不思議なくらい。

廊下から爆竹音が聞こえる。
一年二組。
これが私のクラスだ。
担任はモヤシみたいな男。『こーれ静かにしろぉ。』担任は以前よりも情けなくなった。
この前、学年一荒れている本郷風月(ホンゴウフヅキ)に腹パンされて肋骨を折ったからだ。
『瑠伽、何冴えない顔してまじめに座ってんだよ。』この子は荒原胡羅奈(アラハラウラナ)。
見かけは怖いけど優しい。
『ウチと風月って同中だったんだ。』
『中学生の時からあんな感じだったの?』
胡羅奈の顔が少し暗くなった。
『ここだけの話、あいつ超いじめられてたんだぜ。』
『え?嘘でしょ?』
『変な噂流されてリンチされたり超ヤバかったんだから。』
すごくビックリした。
風月にそんな過去があったなんて・・・。

『きゃーっ!!』
廊下から叫び声が聞こえてきた。
『見に行こうぜ!』
胡羅奈と一緒に人が大勢いるところまで駆ける。
『本郷!今まで俺が味わってきた思い、味わえ!』
そこにいたのは学年一のいじめられっ子の轟基(トドロキモトキ)だ。
『やめろ!落ち着け!』
その時だった。
『皆揃ってジロジロ見るなぁ!!』
基の手から上履きが飛ぶ。
『琉伽!危ない!』
『えっ?』
すると、私に覆い被さるように誰かが出てきた。
唇と唇が重なる。
『大丈夫か?』
私をかばってくれたのは風月だった。
『ご、ごめんね。怪我してないよね?』
まっすぐな瞳。
少しキュンとくる。
『大丈夫。南咲こそ大丈夫か?女の子に暴力振るうなんて最低だよな。』
私が座っている後ろには基の上履きが落ちている。
『俺が返してくるから南咲は教室帰ってろ。』
『あ、ありがとう!』