私の、バスケ人生において、初心を書き留めている、大事な宝物
「欲しい、莉子」
まっすぐな目で見つめられる。
こんなに目が合うのは、いつぶりだろう。
周りの音が聞こえないぐらい、2人の世界にいる。
遥の目に操られてるかのように、背中に回した手が緩み、ゆっくりと遥に向かっていた。
「ありがとう。…大事にする。」
紙を私の手から抜き取った遥は、表の私の名前を見て、本当に大事そうにポケットに入れた。
「……行きましょう、先輩」
その言葉に、グッと現実に戻された。
あの頃とは違う、大きくなった背中について行きながら、遥が紙を入れてたポケットを見る。
宝物、遥に渡しちゃったけど、…良いか。
遥は目の前にいるし、側で支えることもできる立場なんだ。
…遥のバスケ姿が見れる限り、あの頃の気持ちを無くすことは、きっとない。
「この高校、選んでくれてありがとう…。」
私のこの言葉に、遥がぎゅっと目を閉じていたのは見えていない。
「…もう、傷つかせない。だから、…」
側にいても良いか。
莉子の側にいたい。
それは、中学で離れてから、毎日のように思っていたことだった。



