「大事な、ものなので。」
「将来の夢、とか?」
「私が、尊敬する人、ですね。」
「可愛い…。」
変な返事をもらい、正直に言うんじゃなかったと思った。
とにかくここから逃げようと、もう一度お礼を言って去ろうとしたら、「待って!」と手首を掴まれる。
「それ見たらダメ?」
「ごめんなさい。それはちょっと。」
「俺が見ても誰か分かんないよ!」
じゃあ、見なくて良いじゃん!と言いたかったけど、最初の穏やかさから、逃がさないというような圧をこの人から感じて、怖くなってしまう。
ぎゅっと紙を胸に固く押さえる。
見せない。…私の宝物だし。
…それに、これは、
「すみません。怖がってるんで、離してもらえますか。」
とんっと私の背中が固い胸に当たる。
そして、私の後ろから手が伸び、相手の手首を掴んでいる。
「おっと、怖かった?ごめんね。」
パッと手を離したこの人
軽い調子で、後ろの、遥に笑いかける。
「失敗だー。仲良くしたかったんだけど。残念。」
ひらひらと手を振ってステージを降りて行く。
……さっきまでのしつこさは何だったんだ。
「…いつまでここにいるんだ。」
背後にいた遥が私の手元を覗き見る。
すると、一点で目が止まった。



