桃はふと司の肩に頭をもたれた。

「どうした?疲れた?」

「…頑張って頑張って絞り出したアイディアはつまらないって言われて当然だね。」
司は桃の頭を撫でる。

「そんなことない。桃のアイディアはみんなのことをよく考えてるよ。どんな人も大切な時間が過ごせるようにって、来る人のことをよく考えてる。」
「そうかな…」
「そうだよ。誰よりそばで桃の企画をずっと見てきた。間違いない。」
桃は目を閉じた。

「桃は間違えてない。桃は桃でいいんだ。それでいい。」
桃のほしい言葉も温もりもここにある。




でもそんな時間にももうすぐ終わりが来ることをふたりは分かっていた。