「桃」

その声に顔をあげるとそこには司が心配そうな顔をして立っていた。

肩で息をしている。

走って私を探してくれていたの…?

桃は思わず流れる涙を拭った。

司は自分の上着を桃の肩にかけると桃をやさしく包み込んだ。

司の温もりや香りに包まれて桃の涙が次々に溢れる。

「こんなに冷たくなって…」と司が桃の背中をさする。