「はぁ~」
佳子とのいつものランチ。佳子も桃も同時にため息をつく。

「どうしたの?」
桃が佳子に聞くと佳子は困ったように笑った。

「実はプロポーズされたの。」
「えっ!?」
「結構前にね。」
「よかったじゃない!」
「…う~ん。」
佳子の表情が曇る。

「実はね、龍仁に転勤の話が出ててね。北海道。」
「……そっか。」
「30歳。自分の人生の選択が多すぎるよね。仕事もここまでがんばってふんばって、地位を築いてきた。でも女として好きな人と結婚して子どもがほしい。」
桃にも気持ちがいたいほどわかる。