「おい、ぶす」


今日も絶好調に私を口汚く罵るのは、隣の白咲くんです。

隣というのは二つ意味がありますが、一つはクラスの席のこと。

男女別の出席番号順で席が決まる場合、さ行の“白咲”と、か行の“黒沼”は隣になる確率が非常に高く今年も例に漏れず隣同士になってしまいました。


因みに白咲くんのフルネームは“白咲 真白(しろさき ましろ)”くんというのですが、名乗っただけでパッと白い背景が浮かぶような爽やかな名前だと思います。

その名の通り、白咲くんの容姿は真っ白な花が咲いたみたいに綺麗で憧れている女子も多数いるそうです。


しかしながら、私は知っているのです。



「聞いてんのかよ、黒美(クロミ)」

「なん、ですか…」

「購買で焼きそばパン。あと自販機でコーヒー牛乳」



隣の白咲くんは…

本当はとっても真っ黒な人だ、ということを。