「…噂って…?」

「さー?」


馬鹿にしたように私を見てくる彼。

…会って少ししか経っていないけど、この人苦手だ。


私はかっこよくて、不器用なりにも優しくて、男らしい、龍みたいな……


バカ、私のばか。
龍のことはもう忘れなきゃ。
忘れ、なきゃ…いけないのに。





涙が溢れそうになった瞬間


「そうやってすぐ泣くから、色々言われるんじゃない?」


彼にそう言われ驚きで涙が止まった。



「自分でも気づいてるだろ」



その言葉が示すのは、周りが言っている私に対する悪口のことで。

確かに私は色んな人に悪口を言われている。

ぶりっ子とか男好きとか、



「でも!…全部違うもん。それに、少なくても大切な友達がいればそれでいい…」





「…君に友達なんていないでしょ」




「いるもん…!何も知らないくせに知ったようなこと言わないで」


私のことを嫌ってる人がいるのは知ってる。

でも、友達はちゃんといる。




「もしかして君の言う【友達】っていうのは、毎日君と一緒にいて媚び売ってる子のこと?」

「媚び?何を言っているの?
私と一緒にいてくれる子は媚びなんか売ってない」




「あ、言い方を間違えた。
利用されてるんだったね、君が」





また、冷たい目で、私のことなんてまるでどうでもいいみたいな目で見てくるのは目の前の人で。




言っている意味がわからない。

利用されてる?私が?