「なに言ってんの?付き合ってるわけねーだろ」


目の前にいる、この人の目は嘘をついている目ではなくて。

じゃあ、あれは何だったの?



【私、龍くんと一緒にいたいです…!】

あの時、そう告白した私に龍は

【……?勝手にすれば?】


そう言ってきたのに。


「……告白、、したのに」



ぽつりと呟くと、驚いたように私を見つめる佐田さん。


「龍、この子に告白されたの?何て返したの?」

「知らねーよ。俺はお前のことしか好きじゃないから」



しら、ない?

私の告白は龍の記憶にすらなかったの…?

なにそれ、




龍の記憶の中には私は一切いない、そういうこと?
目の前で龍が吐く甘いセリフは全て佐田さんに向けられたもので。



龍の目には一切わたしは映っていなくて。


ライバルだと、敵だと、そう思っていた佐田さんは龍の恋人で。



頭の整理がついた途端、世界が音を立てて崩れていくような気がした。



「…今後、京香に近づくな。あと俺にもな」




私を睨んだあと、龍は京香さんの手を掴み去って行った。